[日文佐卡同人]希くは (作者:本阵)
Wednesday, October 27th, 2004 05:25 am![[personal profile]](https://www.dreamwidth.org/img/silk/identity/user.png)
本阵同学给我的HIT文 ^^
DUCA
http://www.geocities.jp/huangizu
40000HITのキリリクお題「甘いアスアサスカカ」と言う事で、この話は既に出来上がったサスカカ、サスケの里抜け無視(笑)サスケ20歳位の設定で構成されてます。
無くしてしまったものはニ度と戻って来ない。
無くしたものを取り戻そうと必死になって掻き集めても、所詮それは代用品でしかなく、決して自分の望む結果にはならない。それは水を手の平ですくう行為に似ていて…決して満たされる事が無い。
だから、俺は失ったものを取り戻すのは止めた。無くした代わりに、もっと大切なものを見つけたから…
希くは
コイネガワクハ
カーテンから薄っすら漏れる朝日を浴びて目を覚まし、サスケは心地良い感覚にまどろんだ。
体は重く疲れていたが、心は反対に軽く、全身に温かいものが満たされひどく心地良い。寝返りを打って自分の傍らに眠る愛しいヒトの体にそっと手を廻し、軽く抱き締めた。「ん…」と身動ぎした拍子に銀糸の髪が鼻先を翳め、くすっぐたさと嬉しさで自然と口元が綻んだ。
自分より14も年上の同性を可愛いと思ってしまう自分は、相当イカレてる。けれど、こんな風に満たされた想いで朝を迎えられるのなら、多少、頭がイカレていても構いやしない。
「カカシ…」
名前を囁き、すうすうと寝息をたてる恋人の額に掛かる髪の毛を梳いて、軽くおでこにキスを落とすと相手の腕が自分の首にふわりと巻き付いた。寝惚けたまま、銀糸の髪の恋人は甘えた声で相手の名前を囁いた。
「アスマ…」
「…で?」
「…で?って何だ?」
上忍待機所の一角で、大柄の髭面の男と黒髪の青年が一つのテーブルに向かい合う形で話をしていた。片方は百戦錬磨のベテラン、もう片方は天才肌のホープだが、どちらも木の葉きっての凄腕の上忍だけに、周りの者は遠巻きに事の成り行きを見護っている。
「いや、だから何で俺ントコに来るんだ?俺には関係無えだろう。」
「アンタの名前が出てんのに、何で関係無いんだ?」
「アホか!カカシが寝惚けて、口から出た名前がたまたま俺だっただけだろ?文句ならカカシに言え!」
「…もう言った。」
「それで?」
「…覚えて無いって…」
「なら仕方ねえな。」
「仕方ないで済むか!おかげで俺の清々しい朝はメチャクチャだ!」
「…で、文句言った挙句がそのツラか?」
髭面の男は口を皮肉気に歪め、相手の若者の顔を見た。黒髪の青年は元はかなりの美形にも関わらず、左頬は赤く無残に腫れ上がり、かなり痛々しい様子だった。
青年はギロリと髭男を睨みつけ、立ち上がった。
「とにかく、カカシには手を出すな!それだけだ。」
「手を出すも何も、俺達は今は切れてンだ。そんな気、毛頭無えよ。」
「どうだか。…アンタ今でもカカシが好きだろ?」
黒髪の青年・うちはサスケは相手を真正面から見つめて言った。髭男・猿飛アスマとカカシが旧知の友人で、恋人だった事をサスケは知っている。今となっては過去の話だが、自分の知らない二人の長い時間は今でもサスケにとって不安材料なのだ。
アスマは余裕の笑みを浮かべ、その視線を見返した。
「だとしても…カカシにその気が無いなら問題は無いさ。それとも、カカシの気持ちを自分に向けておける自身が無いのか?」
「……。」
サスケは両の手が白くなる程握り締めた。
「最初に言ったはずだ。アイツはおまえには荷が重いって。あの馬鹿を信じる気力も覚悟も無えなら…やめといた方が身の為だ。」
アスマは銜えていた煙草を揉み消し立ち上がると、立ち尽くすサスケを一瞥し、待機所を出て行った。
「そんな事…解ってる。」
所詮、おまえはガキなのだ。と暗に言われ、反論する事も出来ず、サスケは自分の不甲斐無さに思いきり歯噛みした。
「俺、サスケと付き合う事にしたから、もうアンタとは寝ないね。」
そんな事をカカシがのほほんとした口調でアスマに告げたのは、もう二年も前の話だ。
突然、何を寝惚けた事を言ってるのだコイツは?と呆れ返ったが、本人は至って真面目に言っているらしく、宣言通りそれまでの奔放な生活が嘘の様に、カカシは模範的なまでの愛情をサスケ一人に注ぐ様になった。誰もがこの奇妙な組み合わせに、持って三ヶ月とあたりを付けたが、大方の予想を裏切り意外性NO,1の二人の関係は既に、二年続いている。
カカシが言うにはサスケに告られ、ついOKしてしまい今に至る、と言う事だが、あのカカシがそれだけの理由で二年も続くものだろうか?正直、意外としか言い様が無い。今まで何人もの男女と関係を持っても、カカシは長く続いた例が無い。何時もケロリとした顔でアスマの元へ戻って来ては、またふらりと誰かの元へと行ってしまう。
とんだ尻軽、節操なし、遊び人…と口さがなく言われても仕方ない。
だがアスマは識っていた。
ただ、カカシは昔無くしてしまった大切なものを取り戻したくて必死なだけなのだ…と。カカシの心には大きな穴が開いていて、満たされる事が無く、何時も飢えていた。その大きな穴を埋めようと他人に縋ってみても所詮、代用品でしかない愛情にカカシは満たされる事が無く、相手はそれすら理解出来ず、すぐに別れてしまう。自分ならばカカシの心の渇きを癒してやれるかもしれないと、自惚れた時期もあったが、結局、何度体を重ねてもカカシは自分を通して、失ってしまった過去の大切な思い出を反芻しているに過ぎないのだと思い知らされた。
だから、アスマは言ってやったのだ。
「無くしたものは戻って来ない、諦めろ。その代わり…新しい大切なものを見つけろ。」と。
その時の言葉を…カカシはどんな想いで聞いたのだろう?
アスマは煙草を深々と吸い、大きな溜息と共に煙を吐き出した。
「アスマ~。」
「…またかよ。」
げんなりとアスマが振り向くと、カカシが勢いよく縋り付いて来た。
「今度はおまえか?」
「今度は…って、サスケに会ったの?」
カカシはひどく情けない表情で(と言っても見えているのは右目だけなのだが)アスマを見返した。
「ああ、おまえに手を出すなって凄まれた。」
「…あの、馬鹿!」
カカシは「やってられない」と言わんばかりにその場にヘタリ込んだ。
「俺の名前、呼んだんだって?」
「う~ん、そうらしい。ケド覚えて無いんだよねぇ。そりゃ悪かったとは思うけどさ、そんなに怒る事無いと思わない?」
「まあ、アイツにとちゃ一大事なんだろ。」
「そんなに俺、信用無いかなぁ…」
ハァと溜息を吐くカカシに思わず「有るわけ無えだろ!」とツッコんでやりたくなったが、話がややこしくなるので口には出さなかった。
カカシはサスケと喧嘩する度にアスマに愚痴を言いに来る。散々、言いたい放題悪口を言って、スッキリすると何事も無かった様に帰って行き、次の日には仲良くベタベタくっ付いているので、聞き役にされるアスマにはいい迷惑だった。
一度、「そんなに面倒ななら別れちまえ。」と言ってやったが、カカシは少し途惑った表情をして「そうだねぇ…」と、ほわりと微笑うだけだった。
結局、今も関係は続いている。
サスケが他の奴等と何が違うのか、アスマにはよく解らなかった。だが少なくとも今のカカシにとって、サスケは何よりも大切な人間なのだろう。
多分・・・自分よりも…
ふ…っとアスマは衝動に突き動かされ、カカシの肩を掴んだ。カカシの碧玉色の右目が驚きで見開かれ、自分を見つめ返す。
「どうしたのアスマ?」
「どうもしねえさ…ただ、知っておいて欲しいだけだ。…俺は何時でも待ってるから、ガキに嫌気がさしたら戻って来てもいいんだぜ。」
それはアスマなりの告白だった。伸るか反るかをカカシに託した精一杯の。
カカシは息を詰めたまま、黙ってアスマを見つめていたが、以前と同じ様に「そうだねぇ…」と言い、ほわりと微笑っただけだった。
アスマは腕の力を緩め、カカシの肩から手を引いた。クツクツと喉の奥で笑い息を吐いた。
「…フラレたか。」
「ごめん。」
済まなそうに応えるカカシの頭を、アスマは嬉しそうにクシャクシャと撫ぜた。
「一つ訊いていいか?サスケは…おまえの無くしたものを埋められる程の存在なのか?」
「アスマ…あんた言ったじゃないか。無くしたものは戻って来ないって。サスケは無くしたものの代用品じゃ無いんだ。俺が見つけた…”新しい大切なもの”だよ。」
「……。」
そうか…。
聞こえるかどうかの声で呟き、アスマは晴れやかに笑った。
皮肉な話だ。自分がフラレる原因のキッカケを作ったのは紛れも無い自分とは。だが結果、カカシが幸せになれるなら、アスマは何も惜しむ事など無かった。
「まあ、サスケは馬鹿だし、すぐ感情的になるガキだし…この先どうなるか何て解んないけどね。」
そう言いながらも、カラリと笑うカカシの満更でも無い様子に、この恋が末永く続く事を希はずにいられなかった。
「カカシ!」
「サスケ…」
跳ぶ様な速さで駆け寄って来た黒い影は、カカシの細い体を掻き抱き、ぎゅうぎゅうと抱き締めた。
「カカシ!ごめん。俺が悪かった!許してくれ!好きだ。堪らなく愛してる!アンタに夢中で首っ丈だ!棄てないで!」
マシンガンの様に一気に捲くし立て、サスケは噛み付く様にカカシに口付けた。
「んー?!」
思いも寄らないサスケの暴挙に、カカシもアスマもただ唖然と立ち尽くした。色を失っているカカシから、クチュリと音をたてて唇を離しサスケはカカシの肩越しにアスマに向かって舌を出した。
”…確かに…ガキだ、こいつ!”
呆れ返りゲッソリと力が抜け、アスマはその場に倒れそうになった。
「カカシ…俺はアンタを…」
顔を紅く染め、陶然とカカシを見つめるサスケの右頬に、唸りを上げて衝撃が襲った。
「こンの…おばかーっ!!」
「まぁ…明日になれば…」
アスマはぼそりと呟き、”希わくは…”と願わずにはいられなかった。
終
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ヒナツ様、4万打キリリクお待たせいたしました。待たせすぎてすみません。
甘いアスサスカカという難しい(本人にとって)お題を頂き、何とかこんな形に仕上がりましたが、何やらサスケがお馬鹿っぽくなるやら、アスマさんばかり出張るやら、御希望に添えなかったかも~?とバクバクしております。こんな稚拙な作品ですが、受け取って頂けると涙流して喜びます。リクエストありがとうございました~v2004/10/23
DUCA
http://www.geocities.jp/huangizu
40000HITのキリリクお題「甘いアスアサスカカ」と言う事で、この話は既に出来上がったサスカカ、サスケの里抜け無視(笑)サスケ20歳位の設定で構成されてます。
無くしてしまったものはニ度と戻って来ない。
無くしたものを取り戻そうと必死になって掻き集めても、所詮それは代用品でしかなく、決して自分の望む結果にはならない。それは水を手の平ですくう行為に似ていて…決して満たされる事が無い。
だから、俺は失ったものを取り戻すのは止めた。無くした代わりに、もっと大切なものを見つけたから…
希くは
コイネガワクハ
カーテンから薄っすら漏れる朝日を浴びて目を覚まし、サスケは心地良い感覚にまどろんだ。
体は重く疲れていたが、心は反対に軽く、全身に温かいものが満たされひどく心地良い。寝返りを打って自分の傍らに眠る愛しいヒトの体にそっと手を廻し、軽く抱き締めた。「ん…」と身動ぎした拍子に銀糸の髪が鼻先を翳め、くすっぐたさと嬉しさで自然と口元が綻んだ。
自分より14も年上の同性を可愛いと思ってしまう自分は、相当イカレてる。けれど、こんな風に満たされた想いで朝を迎えられるのなら、多少、頭がイカレていても構いやしない。
「カカシ…」
名前を囁き、すうすうと寝息をたてる恋人の額に掛かる髪の毛を梳いて、軽くおでこにキスを落とすと相手の腕が自分の首にふわりと巻き付いた。寝惚けたまま、銀糸の髪の恋人は甘えた声で相手の名前を囁いた。
「アスマ…」
「…で?」
「…で?って何だ?」
上忍待機所の一角で、大柄の髭面の男と黒髪の青年が一つのテーブルに向かい合う形で話をしていた。片方は百戦錬磨のベテラン、もう片方は天才肌のホープだが、どちらも木の葉きっての凄腕の上忍だけに、周りの者は遠巻きに事の成り行きを見護っている。
「いや、だから何で俺ントコに来るんだ?俺には関係無えだろう。」
「アンタの名前が出てんのに、何で関係無いんだ?」
「アホか!カカシが寝惚けて、口から出た名前がたまたま俺だっただけだろ?文句ならカカシに言え!」
「…もう言った。」
「それで?」
「…覚えて無いって…」
「なら仕方ねえな。」
「仕方ないで済むか!おかげで俺の清々しい朝はメチャクチャだ!」
「…で、文句言った挙句がそのツラか?」
髭面の男は口を皮肉気に歪め、相手の若者の顔を見た。黒髪の青年は元はかなりの美形にも関わらず、左頬は赤く無残に腫れ上がり、かなり痛々しい様子だった。
青年はギロリと髭男を睨みつけ、立ち上がった。
「とにかく、カカシには手を出すな!それだけだ。」
「手を出すも何も、俺達は今は切れてンだ。そんな気、毛頭無えよ。」
「どうだか。…アンタ今でもカカシが好きだろ?」
黒髪の青年・うちはサスケは相手を真正面から見つめて言った。髭男・猿飛アスマとカカシが旧知の友人で、恋人だった事をサスケは知っている。今となっては過去の話だが、自分の知らない二人の長い時間は今でもサスケにとって不安材料なのだ。
アスマは余裕の笑みを浮かべ、その視線を見返した。
「だとしても…カカシにその気が無いなら問題は無いさ。それとも、カカシの気持ちを自分に向けておける自身が無いのか?」
「……。」
サスケは両の手が白くなる程握り締めた。
「最初に言ったはずだ。アイツはおまえには荷が重いって。あの馬鹿を信じる気力も覚悟も無えなら…やめといた方が身の為だ。」
アスマは銜えていた煙草を揉み消し立ち上がると、立ち尽くすサスケを一瞥し、待機所を出て行った。
「そんな事…解ってる。」
所詮、おまえはガキなのだ。と暗に言われ、反論する事も出来ず、サスケは自分の不甲斐無さに思いきり歯噛みした。
「俺、サスケと付き合う事にしたから、もうアンタとは寝ないね。」
そんな事をカカシがのほほんとした口調でアスマに告げたのは、もう二年も前の話だ。
突然、何を寝惚けた事を言ってるのだコイツは?と呆れ返ったが、本人は至って真面目に言っているらしく、宣言通りそれまでの奔放な生活が嘘の様に、カカシは模範的なまでの愛情をサスケ一人に注ぐ様になった。誰もがこの奇妙な組み合わせに、持って三ヶ月とあたりを付けたが、大方の予想を裏切り意外性NO,1の二人の関係は既に、二年続いている。
カカシが言うにはサスケに告られ、ついOKしてしまい今に至る、と言う事だが、あのカカシがそれだけの理由で二年も続くものだろうか?正直、意外としか言い様が無い。今まで何人もの男女と関係を持っても、カカシは長く続いた例が無い。何時もケロリとした顔でアスマの元へ戻って来ては、またふらりと誰かの元へと行ってしまう。
とんだ尻軽、節操なし、遊び人…と口さがなく言われても仕方ない。
だがアスマは識っていた。
ただ、カカシは昔無くしてしまった大切なものを取り戻したくて必死なだけなのだ…と。カカシの心には大きな穴が開いていて、満たされる事が無く、何時も飢えていた。その大きな穴を埋めようと他人に縋ってみても所詮、代用品でしかない愛情にカカシは満たされる事が無く、相手はそれすら理解出来ず、すぐに別れてしまう。自分ならばカカシの心の渇きを癒してやれるかもしれないと、自惚れた時期もあったが、結局、何度体を重ねてもカカシは自分を通して、失ってしまった過去の大切な思い出を反芻しているに過ぎないのだと思い知らされた。
だから、アスマは言ってやったのだ。
「無くしたものは戻って来ない、諦めろ。その代わり…新しい大切なものを見つけろ。」と。
その時の言葉を…カカシはどんな想いで聞いたのだろう?
アスマは煙草を深々と吸い、大きな溜息と共に煙を吐き出した。
「アスマ~。」
「…またかよ。」
げんなりとアスマが振り向くと、カカシが勢いよく縋り付いて来た。
「今度はおまえか?」
「今度は…って、サスケに会ったの?」
カカシはひどく情けない表情で(と言っても見えているのは右目だけなのだが)アスマを見返した。
「ああ、おまえに手を出すなって凄まれた。」
「…あの、馬鹿!」
カカシは「やってられない」と言わんばかりにその場にヘタリ込んだ。
「俺の名前、呼んだんだって?」
「う~ん、そうらしい。ケド覚えて無いんだよねぇ。そりゃ悪かったとは思うけどさ、そんなに怒る事無いと思わない?」
「まあ、アイツにとちゃ一大事なんだろ。」
「そんなに俺、信用無いかなぁ…」
ハァと溜息を吐くカカシに思わず「有るわけ無えだろ!」とツッコんでやりたくなったが、話がややこしくなるので口には出さなかった。
カカシはサスケと喧嘩する度にアスマに愚痴を言いに来る。散々、言いたい放題悪口を言って、スッキリすると何事も無かった様に帰って行き、次の日には仲良くベタベタくっ付いているので、聞き役にされるアスマにはいい迷惑だった。
一度、「そんなに面倒ななら別れちまえ。」と言ってやったが、カカシは少し途惑った表情をして「そうだねぇ…」と、ほわりと微笑うだけだった。
結局、今も関係は続いている。
サスケが他の奴等と何が違うのか、アスマにはよく解らなかった。だが少なくとも今のカカシにとって、サスケは何よりも大切な人間なのだろう。
多分・・・自分よりも…
ふ…っとアスマは衝動に突き動かされ、カカシの肩を掴んだ。カカシの碧玉色の右目が驚きで見開かれ、自分を見つめ返す。
「どうしたのアスマ?」
「どうもしねえさ…ただ、知っておいて欲しいだけだ。…俺は何時でも待ってるから、ガキに嫌気がさしたら戻って来てもいいんだぜ。」
それはアスマなりの告白だった。伸るか反るかをカカシに託した精一杯の。
カカシは息を詰めたまま、黙ってアスマを見つめていたが、以前と同じ様に「そうだねぇ…」と言い、ほわりと微笑っただけだった。
アスマは腕の力を緩め、カカシの肩から手を引いた。クツクツと喉の奥で笑い息を吐いた。
「…フラレたか。」
「ごめん。」
済まなそうに応えるカカシの頭を、アスマは嬉しそうにクシャクシャと撫ぜた。
「一つ訊いていいか?サスケは…おまえの無くしたものを埋められる程の存在なのか?」
「アスマ…あんた言ったじゃないか。無くしたものは戻って来ないって。サスケは無くしたものの代用品じゃ無いんだ。俺が見つけた…”新しい大切なもの”だよ。」
「……。」
そうか…。
聞こえるかどうかの声で呟き、アスマは晴れやかに笑った。
皮肉な話だ。自分がフラレる原因のキッカケを作ったのは紛れも無い自分とは。だが結果、カカシが幸せになれるなら、アスマは何も惜しむ事など無かった。
「まあ、サスケは馬鹿だし、すぐ感情的になるガキだし…この先どうなるか何て解んないけどね。」
そう言いながらも、カラリと笑うカカシの満更でも無い様子に、この恋が末永く続く事を希はずにいられなかった。
「カカシ!」
「サスケ…」
跳ぶ様な速さで駆け寄って来た黒い影は、カカシの細い体を掻き抱き、ぎゅうぎゅうと抱き締めた。
「カカシ!ごめん。俺が悪かった!許してくれ!好きだ。堪らなく愛してる!アンタに夢中で首っ丈だ!棄てないで!」
マシンガンの様に一気に捲くし立て、サスケは噛み付く様にカカシに口付けた。
「んー?!」
思いも寄らないサスケの暴挙に、カカシもアスマもただ唖然と立ち尽くした。色を失っているカカシから、クチュリと音をたてて唇を離しサスケはカカシの肩越しにアスマに向かって舌を出した。
”…確かに…ガキだ、こいつ!”
呆れ返りゲッソリと力が抜け、アスマはその場に倒れそうになった。
「カカシ…俺はアンタを…」
顔を紅く染め、陶然とカカシを見つめるサスケの右頬に、唸りを上げて衝撃が襲った。
「こンの…おばかーっ!!」
「まぁ…明日になれば…」
アスマはぼそりと呟き、”希わくは…”と願わずにはいられなかった。
終
--------------------------------------------------------------------------------
ヒナツ様、4万打キリリクお待たせいたしました。待たせすぎてすみません。
甘いアスサスカカという難しい(本人にとって)お題を頂き、何とかこんな形に仕上がりましたが、何やらサスケがお馬鹿っぽくなるやら、アスマさんばかり出張るやら、御希望に添えなかったかも~?とバクバクしております。こんな稚拙な作品ですが、受け取って頂けると涙流して喜びます。リクエストありがとうございました~v2004/10/23